
わかやま新報の読者の皆さま、こんにちは! 和歌山県よろず支援拠点の福山です。
以前、ある化粧品店さまから、社員の方向けにお話をしてほしいとご依頼がありました。相手のことを理解しながら進めたかったので、一方通行のセミナー形式ではなく、対話型の勉強会形式で行いました。とてもすてきなスタッフさんがそろっていて、いい感じの空気が漂っていました。
「仕事における喜びは何ですか」との私の問いに、ある販売員さんは「私たちは対人セールスですから、お店の商品をお客さまに提供するのが仕事です。でも、『買ってください』『買ってほしい』を前に出す営業は好きではないので、していません。お客さまといい時間を共有できることは、お金には代えられない喜びですので、お客さまと楽しい時間を過ごせるように心掛けています」とおっしゃっていました。
この店員さんは日ごろからお客さまといい関係を築いているのでしょう。まさしくこのことに、物が売れない時代にお客さまが買ってくださるヒントや、お客さまに「買いたい」の気持ちが生まれる瞬間が隠されていると思います。
化粧品店の話なので、「口紅」を例に少し考えてみましょう。 口紅は、原材料の顔料や油分など、工場で「素材」と呼ばれるものをもとに多くの過程を経て作られていきます。形になると「製品」と呼ばれ、パッキングされて出荷されます。
その後、化粧品店などのお店に届けられ、「商品」と呼ばれます。店頭に並べられて初めて「口紅」と呼ばれるのです。さらに、その口紅が販売員さんからお客さまの手に届くと、お客さまの〝きれい〟をお手伝いする「夢」に変わります。
このように同じ「物」でも、関わる人によって異なる呼び方や感覚になるのは面白いですね。大切なのは、相手の心に寄り添い、「夢」のお手伝いをしているかどうかです。お客さまと楽しい時間を過ごせるよう、心掛ける意味はここにあります。 あなたなら、「商品」を売りますか? それとも「夢」を売りますか?